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[民事]に関する記事

解決事例:保険会社から否定された逸失利益を勝ち取る和解解決した

2018-11-12

「保険会社から否定された逸失利益を勝ち取る和解解決をしました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

交通事故により右肩鍵盤断裂等の傷害を負った原告Xさん(事故当時44歳の男性)は、自賠責保険で後遺障害等級(10級10号)の認定を受けたものの、Xさんが運送会社の経営者であり、役員報酬を受け続けていることを理由に逸失利益が存在しないと保険会社から主張されていた件で、逸失利益が発生していることを前提とする和解を勝ち取りました。

【事案の概要】

Xさんは、2016年5月、大型貨物自動車に乗って赤信号で停止中、普通自動車に後部から追突され、右肩鍵盤断裂等の重症を負いました。Xさんは、治療を続け、自賠責の申請をしたところ、10級10号(神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)が認定されました。

Xさんは、従業員が約20名弱の運送会社(一部製造業も営んでいる)の代表取締役であり、一定の役員報酬を受けていました。保険会社は、事故後も、役員報酬に減額がないことを理由として、逸失利益の喪失がない、つまり、後遺障害によって将来にわたる収入減額が起きないと主張し、逸失利益の損害を一切支払わない旨を主張しました。

そこで、弁護士喜田がXさんの代理人に就任し、2017年11月、損害賠償請求訴訟を提起しました。

【裁判の進行】

我々は、Xさんは荷物の積み下ろしを含むトラック運送業務の実務に従事しており、後遺障害によって業務に大きな影響が出ていることからすれば、Xさんが一定の役員報酬をもらっているとしても、それは労務対価性のあるものであって、逸失利益が発生する旨を主張・立証しました。実際に、Xさんの会社の経営状態は、交通事故発生後、Xさんが十分に業務に従事することができないこともあり、やや悪化していました。

これに対し被告側は、事故後も役員報酬の減額がないことを理由として、逸失利益は発生しないという主張を維持しました。

そして、ある程度の主張・立証が尽くされた後、2018年10月、裁判所から和解案が文書で提案されました。

【裁判所の和解案】

裁判所の和解案には、Xさん自身が荷物の積み下ろし等も含むトラック運転業務に従事していることや、当該具体的な業務内容と後遺障害の内容・程度に照らせば、業務への影響が出ていることや、実際に会社の売上にも影響していること等に照らして、逸失利益を認めることが相当であると明確に述べました。その上で、27%の労働能力喪失と、67歳までの逸失利益を具体的な金額で算定しました。

結局、保険会社も裁判所の和解案を受け入れ、訴訟提起前の交渉段階では考えられなかった水準での和解が成立しました。

【最後に】

Xさんが、訴訟提起前に保険会社から提案された金額は、慰謝料等のわずかな金額でした。しかし、訴訟提起し、後遺障害の内容・程度、Xさんの業務内容等との関係、その他の事情等から、役員報酬が維持されているとしても逸失利益が発生していると立証することに成功し、裁判所が我々の主張を全面的に採用してくれました。

このように、保険会社の主張・考え方が、裁判所で維持されるとは必ずしも限りません。法的観点から保険会社の主張が通るかどうかを見極めることが大切です。

交通事故の示談交渉でお困りの方は、ぜひ、一度、ご相談ください。

自賠責に対する被害者請求と労災の求償が競合する場合【判例紹介】

2018-10-03

自賠責に対する被害者請求と労災からの求償とが競合する場合(最高裁平成30年9月27日判決)

判決文は
裁判所HP
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/011/088011_hanrei.pdf
で公開されています

加害者が任意保険に入っておらず、業務上災害である交通事故のケースです。
被害者は、労災保険給付を申請できますし(その場合に後日、国が加害者に対して第三者行為の求償をすることになります)、足りない分を自賠責保険会社に被害者請求することができます。

自賠責の保険金額は、傷害も後遺障害も上限が決まっていますので、上限の決まった金額を、被害者請求と労災による求償とどっちが優先するかという問題です。

判決は、被害者請求の金額と労災の求償の金額とで比例配分するのではなく、被害者優先であるというのが結論です。

判決要旨
被害者が労災保険給付を受けてもなお塡補されない損害(以下「未塡補損害」という。)について直接請求権を行使する場合は,他方で労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権が行使され、被害者の直接請求権の額と国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超えるときであっても,被害者は、国に優先して自賠責保険の保険会社から自賠責保険金額の限度で自賠法16条1項に基づき損害賠償額の支払を受けることができるものと解するのが相当である。

 

 

 

交通事故のとき弁護士に依頼するメリット

2018-06-14

交通事故のとき弁護士に依頼することで得られるメリット

弁護士佐々木正博

2016年中の交通事故発生件数は49万9201件,1日あたり1368件も発生していますが多くの方が初めての経験ということになるのではないでしょうか。
そこで,弁護士に相談・依頼するメリットについてお伝えしたいと思います。
①まずは賠償額増額の可能性が高いということです。特に慰謝料については低額な保険会社独自の基準で提示してくるところ,弁護士が入れば,それより高額な裁判所の基準で話し合いを進めていくので賠償額が増額される可能性が高くなります。気付かなかった賠償の項目についても漏れなく請求することもできます。

②大きな争いとなることが多い過失割合についても,こちらの言い分をしっかりと主張し,議論を尽くしていくことができます。

③示談交渉への対応やたくさんの面倒な手続きから解放され,また,事故で心身ともに辛い思いをされている依頼者の方の精神的支えになることができます。損害賠償を算定するにあたり,その前提として,民法・自賠法・道路交通法などの法律知識が必要なのはもちろんですが,さらには,医学的知識や自動車工学などの深く幅広い科学的知識が必要です。今後の見通しを立てていくためには,幅広い専門知識が必要となってきます。

弁護士に依頼することで費用はかかりますが,多くの保険に弁護士費用特約が付いていますし,これからかかる費用の見積もりもご依頼の前には明確にお伝えいたしますので安心です。関西合同法律事務所には交通事故案件に強い経験豊富な弁護士が多数在籍しており,日々親身にご相談に応じております。

まずはお気軽にご相談下さい。

自賠責保険で認定された後遺障害等級の水準以上で和解しました

2018-02-19

「自賠責保険で認定された後遺障害等級の水準以上で和解しました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

交通事故により恥骨骨折等の傷害を負った原告Xさんが、訴訟提起の結果、自賠責保険で認定された後遺障害等級(14級10号)以上の水準の和解を勝ち取りました。

【事案の概要】

原告Xさんは、2015年6月、自転車に乗車中に、普通自動車と衝突する交通事故に遭われ、恥骨骨折等の傷害を負いました。Xさんは、治療を続け、自賠責の申請をしたところ、14級9号(局部に神経症状を残すもの)が認定されるに留まりました。

14級9号では、労働能力が5%しか喪失していないと評価され、喪失期間も2年~5年とされることが多いのですが、Xさんの生活状況や、レントゲン写真の状況から判断すると、より大きな労働能力の喪失が考えられました。また、相手方側(保険会社)は、事故態様について、Xさんの側にも一定の落ち度がある旨を主張してきました。

そのため、弁護士喜田がXさんの代理人に就任し、2016年12月、損害賠償請求訴訟を提起しました。

【裁判の進行】

被告は、裁判で、Xさんにも本件事故の落ち度があり、過失相殺の主張をしました。また、Xさんの骨折の程度が軽いことを理由に、労働能力の喪失はせいぜい5%で、3年程度しか続かない主張をしました。

原告側で、医師の意見書や画像データ等により、Xさんに股関節の可動域制限が生じていることや、骨折部位が変形治癒されていること等を立証し、より大きな労働能力の喪失を主張・立証しました。被告側も、医師の意見書を提出し、医学的にどちらの主張が正しいかが争点となりました。過失相殺についても、事故態様を詳細に主張・立証し、Xさんに落ち度がないことを立証しました。

そして、ある程度の主張・立証が尽くされた後、2017年12月、裁判所から和解案が文書で提案されました。

【裁判所の和解案】

裁判所の和解案は、まず、Xさんの過失割合がゼロであることを前提としました。

また、労働能力の喪失割合は14%であると判断することを明らかにし(後遺障害等級12級に相当します。)、喪失期間も被告の主張を一蹴しました。結局、裁判所の和解案によって、訴訟提起前の交渉段階の水準を大きく超える和解が成立しました。

【最後に】

裁判所の和解案は、自賠責保険で認定された後遺障害等級の評価を超えて、労働能力の喪失を前提とした水準であり、本件では十分評価できるものでした。また、過失相殺についても、Xさんの過失が「ゼロ」であることを前提にしました。過失相殺は、和解の席では、ややもすると譲歩を迫られることが多いのですが、しっかりと「ゼロ」であることを明記させたことも大きな点でした。(例え、5%や10%の過失相殺でも、金額にすると大きな金額になります。)

自賠責保険の後遺障害認定を覆す判決・和解を勝ち取ることは、実務上、容易なことではありませんが、本件では、医学的観点からの主張、立証が成功した事例でした。

交通事故の示談交渉でお困りの方は、ぜひ、一度、ご相談ください。

建築瑕疵が争われた請負代金請求訴訟で勝訴しました

2017-10-13

「建築瑕疵が争われた請負代金請求訴訟で勝訴しました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

X社は、あるマンション建設工事をY社から請け負いました。

X社とY社は、請負契約を締結し、工事の進捗状況に従って請負代金が支払われていました。しかし、Y社は、請負工事が当初の予定より遅れたことや、完成した建物に建築基準法違反等の瑕疵があること等を理由として、建物完成後に支払うべき最後の支払いを拒絶しました。

そこで、弁護士喜田がX社の代理人に就任し、Y社に対して損害賠償請求訴訟を提訴しました(実際には、その他の会社も裁判に参加していましたが、ここでは省略します)。

【事案の概要】

我々は、工事完成が若干遅れたことは、Y社側の事情によるものであり、X社に落ち度がないこと、一部建築基準法違反になることはY社側の要望であり、瑕疵に該当しないこと等を、客観的な図面、現場写真、工事日報等から、主張・立証しました。

2016年10月、大阪地裁は、X社の要求を認める判決を下しました。工事完成が若干遅れたことについてX社の責任を認めず、また、建築基準法違反もY社側の要望に沿ったものであることを明確に述べ、その違反の程度も軽微であることから公序良俗に反するものではない旨を判示しました。

全面的なX社の勝利判決でした。本件は、控訴されましたが、最終的に大阪高等裁判所で和解の解決がなされました。

【最後に】

建築紛争において、そもそも契約書等の書面が存在しておらず、いくらの請負代金で合意したのか立証することすら容易ではない事例はたくさん見られます。また、現場で、工事の変更・追加の指示がなされ、そのような変更・追加に関する客観的な資料に乏しい事例も数多く見られます。また、建物の瑕疵があるか否かをめぐって大きな争いになる事例ももちろん多いです。本件では、建築基準法違反という一見すると明らかな瑕疵が存在しているようでしたが、それがY社の要請によるものを立証して瑕疵を否定するという比較的珍しい勝訴事例でした。

建築紛争の分野でも、やはり専門的なノウハウと技術が求められます。お困りの際は、ぜひ、一度、ご相談下さい。

交通事故により大きな手術痕が残った事例で慰謝料増額で和解成立

2017-05-18

「交通事故により大きな手術痕が残った事例で慰謝料増額で和解成立」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

Xさん(当時76歳、男性)が自転車で走行中、Y氏が運転する自転車と衝突して交通事故に遭い、皮膚が壊死し、植被手術等により右太もも等に大きな手術痕が残ったケースで、慰謝料等の損害賠償請求訴訟を提起したところ、和解解決を勝ち取りました。

【事案の概要】

Xさんは、2015年11月、自宅近くの道路を自転車で走行中、Y氏が勤務中に運転する自転車と交通事故に遭われました。

Xさんは、右太ももを怪我し、皮膚が壊死したため、お腹の皮膚から移植手術を受けなければなりませんでした。手術後も、右太ももには大きな手術痕が残りました。

Y氏側は、単純に入通院期間に応じた慰謝料の提案をしましたが、大きな手術痕が残ったことに対する慰謝料の支払いの提案はありませんでした。

そこで、弁護士喜田がXさんの代理人に就任し、2014年11月、Y氏及びY氏の勤務先の会社を相手(Y氏の勤務中の事故であったため。)に損害賠償請求訴訟を提起しました。

【裁判の進行】

我々は、Xさんの手術痕の大きさ等から、後遺障害等級14級5号「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」に該当することを、医療記録等から主張・立証し、単に入通院を強いられたことに対する慰謝料だけでなく、このような後遺障害が残ったことに対する慰謝料等の請求を求めました。

そうしたところ、裁判所から、当該手術痕についても慰謝料として計算した上での和解の勧告がなされ、Xさん側の主張を十分に汲んだ内容の和解が成立しました。

【最後に】

最終的に、当初のY氏側が提案した示談案より大きな金額で和解解決をすることができました。やはり、適切な示談金額を見極めるには、専門家の意見はどうしても必要不可欠であると思います。

交通事故に遭われた方は、ぜひ、一度ご相談頂ければと思います。

交通事故と被害者死亡の因果関係が争われた訴訟で和解しました

2017-03-24

「交通事故と被害者死亡の因果関係が争われた訴訟で和解しました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

自転車に乗って交通事故に遭って頭を打った男性(Xさん、当時63歳)が、事故から38日後、自宅浴槽で溺死した件で、交通事故と死亡との間に相当因果関係があることを前提とする和解を勝ち取りました。

【事案の概要】

Xさんは、平成23年2月末、自転車に乗車中に、普通自動車に引かれる交通事故に遭われ、地面に頭を打ちました。Xさんは、事故後も自転車を運転して職場に向かいました。

Xさんは、翌日、念のため病院に行きましたが頭部に明らかな異常は見つかりませんでした。Xさんは、その後も、週に3日の仕事を続けながら経過観察をしていましたが、事故から約2週間後、硬膜下に水腫ないし血腫が確認されました。さらに約2週間後、その水腫ないし血腫が大きくなり、このままだと手術をして水腫ないし血腫を除去しなければならない状態(慢性硬膜下血腫)であると医師から言われていた矢先、自宅の浴室で溺死しているところを発見されました。検死の結果、浴室内で意識を消失したため、溺死したと判断されました。

自賠責保険は、本件事故とXさんの死亡には法的な因果関係がないと判断し、任意の保険会社も同様に判断したため、弁護士喜田がXさんの代理人に就任し、2016年12月、損害賠償請求訴訟を提起しました。

【大阪地裁での審理】

本件の争点は、風呂場での意識消失発作が発生したことと本件事故との因果関係が法的に認められるかでした。Xさんには慢性硬膜下血腫、水腫がありましたが、検死結果報告書では、血腫量が極めて少なく記載されていました。被告側は、慢性硬膜下血腫で意識消失発作が起こること自体珍しい上に、血腫量が極めて少ない本件では、これらが原因で意識消失発作が起こることは考えられないと主張しました(また、これを後押しする医師の意見書も提出されました。)。

確かに、どの医学書を読んでも、医師に聞いても、検死結果報告書記載の血腫量で意識消失が起こりうると導き出すことは困難でした。一審段階で、実際に検死をした医師が証人として証言しましたが、証人は検死結果が全てである旨を証言するのみでした。

結局、一審判決は、本件事故と意識消失発作との関係、ひいては死亡との因果関係が全て否定される判決が下されました。Xさんのご遺族はすぐに控訴しました。

【大阪高裁での審理】

控訴審に入り、もう一度膨大な記録を精査していると、検死結果報告書の中にあった大量の写真の中から、脳の表面に黒ずんだ血の塊がこびりついているものが見つかり、これが、急性硬膜下血腫の際に見られる所見であることがわかってきました。また、病院に通っていた当時に撮影されたレントゲン画像の状況から、血腫量が検死結果報告書記載の量より多いということが言えるのではないか、検死結果報告の記載が誤りではないかということが浮かび上がってきました。

つまり、Xさんは、慢性硬膜下血腫の量が増大していた中で、亡くなる直前、何等かの事情で慢性硬膜下血腫が急性増悪した(急性出血があった。)ため、意識消失発作を起こしたのではないかということが法的に認められるのではないか。これらの発見を主張書面にまとめ、医師に意見書とともに裁判所に提出しました。

裁判所は、この論点を判断するため、中立の第三者の専門委員(脳神経外科の医師)に判断を仰ぐことを決定しました。そうしたところ、当該専門委員も、我々の主張と同様、検死結果の少ない血腫量の記載に疑問を呈し、黒ずんだ血の塊を根拠として、慢性硬膜下血腫が何等かの事情により急性増悪したため、意識を失う病態に至った可能性が高いことを指摘しました。

専門委員の意見を踏まえて、高等裁判所は、死亡との因果関係があることを前提とした和解案を文書で提案しました。最終的には、裁判所の和解案に沿って和解が成立しました。

【最後に】

何の利害関係のない死体検案書に書かれた記載に誤りがあることなど、当初は全く考えもしませんでした。しかし、最終的にはその記載が誤りであることに気づき、裁判所や専門委員にも理解してもらうことができました。固定観念を捨てて記録を検討することの重要性を思い知らされました。

医学的に非常に難解な事件でしたが、遺族の方が最後まで諦めずに戦い続けたことが、最終的な和解につながったと思います。

最後になりますが、亡くなられたXさんのご冥福をお祈り申し上げます。

交通事故(被害者死亡)の損害賠償請求訴訟で和解しました

2015-06-09

「交通事故(被害者死亡)の損害賠償請求訴訟で和解しました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

交通事故により亡くなられたXさん(当時69歳、女性)のご遺族の方々が、慰謝料等の損害賠償請求訴訟を提起したところ、和解解決を勝ち取りました。

【事案の概要】

Xさんは、2014年1月、自転車を押しながら自宅近くの道路を歩行していたところ、普通自動車に引かれる交通事故に遭われ、即死されました。

当初、事故の相手方の保険会社は、Xさんが自転車に乗車して突然飛び出してきたことを理由に、大幅な過失相殺をした上で示談金の提案をしました。Xさんが亡くなられ、事故態様を証言することはできず、相手の運転手の供述をもとに事故態様を理解していましたが、Xさんのご遺族の方々はこのことに疑問に感じていました。

そこで、弁護士喜田がXさんのご遺族の代理人に就任し、2014年11月、事故の相手方に対し、損害賠償請求訴訟を提起しました。

【裁判の進行】

裁判の中でも、被告は、Xさんが自転車に乗車して突然飛び出してきたことを理由に、大幅な過失相殺の主張をしました。

我々は、飛び出したと主張されている道路の手前に少し登り坂があり、高齢のXさんは普段から自転車を押して歩いていたこと(つまり自転車に乗車して飛び出してくるはずがないこと)、事故の態様(自転車や自動車の破損状況、Xさんが撥ね飛ばされた状況)等から、被告側の事故態様の主張が不自然であることなどを主張・立証しました。

そうしたところ、裁判所から和解の勧告がなされ、Xさん側の主張を十分に汲んだ内容の和解が成立しました。

【最後に】

とりわけ死亡事故の場合、事故態様の供述を得ることができませんので、ややもすると、保険会社は、事故の相手方の供述に沿った事故態様をもとに過失相殺を勘案し、示談金を提案することがあります。

このような場合には、事故の痕跡から客観的な事故態様を詳細に検討することが大切です。10%の過失の違いでも、死亡事故の場合には特に損害額に大きく反映されることになりますので、保険会社も大きく過失相殺を主張することがあります。また、保険会社からの示談案は、裁判所の基準よりも金額が低い保険会社基準で提案されていることがほとんどですので、保険会社から示談案が出た場合には、専門家の検討が必要不可欠です。

最後になりますが、Xさんのご冥福をお祈り申し上げます。

法律相談‐交通事故

2014-08-11

法律相談‐交通事故 弁護士 佐々木 正博

【相談モデルケース】
自家用車で友達の家に遊びに行った帰りに途中に交通事故に遭いました。信号機のある交差点で,青信号だったので直進で進入したところ,対向車が突然右折をしたため衝突してしまいました。こちらは腕を骨折する重傷を負い病院に入院しましたが,現在は退院して通院中です。長年大切に乗ってきた自家用車は大破してしまいました。これから,相手の方と示談交渉を行なっていかなければいけません。どのような点に注意したらよいですか。(39歳女性・主婦)

Q:どのような損害を請求することができますか。
A:大きく分けて,人的損害(人損)と物的損害(物損)に分けることができます。
  人損として請求できるのは,治療費,休業損害,慰謝料などです。
  物損として請求できるのは,車両修理費,代車費用などです。
Q:健康保険は使えますか。
A:もちろん使えます。昭和43年に当時の厚生省もそのような通知を出しています。 
Q:健康保険は使った方がよいですか。
A:使った方がよいです。自分にも一定の過失が認められた場合,自身の過失分は自己負担になってしまいます。健康保険を使えば自己負担分が少なくて済みます。
Q:入院していたため,家事が全くできませんでした。特に収入がなくても何か請求できますか。
A:主婦(家事従事者)として,休業損害を請求することができます。
Q:相手の保険会社が,慰謝料を支払うと言ってきましたが額が低いように思います。
A:慰謝料の基準には3つあります。①自賠責基準,②任意保険基準,③裁判基準です。①が一番金額が低く,③が一番高いです。相手の保険会社は,①か②の基準で提示してきたものと思われます。
Q:相手方保険会社には,修理代が50万円かかる見積もりを出したのに,物損としては15万円しか支払えないと言ってきました。古いですが大事に乗ってきた車ですので納得できません。
A:修理費がその車の時価を上回った場合には「(経済的)全損」となり,修理代全額の請求はできません。ただし,次の点には注意してください。
  ①まず,その車の時価を上回った場合とありますが,時価の評価が適正か自身でも検討する必要があります。なお消費税も含みます。
  ②また,厳密には,修理代が,車両時価に買替の諸費用を加えた金額を上回る場合に「(経済的)全損」となるので,修理代=車両時価の場合には,修理が認められることがあります。
  ③「(経済的)全損」となった場合,車両時価相当の金額だけではなく,買替の際の一定の諸費用(自動車取得税など)も請求できます。
Q:わざわざ,お金をかけて弁護士に依頼する必要がありますか。
A:依頼されるかはともかく,事故から早いうちに一度は弁護士に相談された方がよいと思います。どういった損害がどれだけ請求できるのか,どのような証拠を整えていく必要があるのか等を早いうちに見極める必要があるからです。当事務所には多数の経験豊富な弁護士が親身に相談をお聞きします。まずは,一度相談に来られることをおすすめします。

名誉毀損・プライバシー侵害・脅迫行為等による損害賠償勝訴判決

2010-07-01

「名誉毀損・プライバシー侵害・脅迫行為等による損害賠償勝訴判決」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

名誉毀損・プライバシー侵害・脅迫行為等を理由とする損害賠償請求訴訟を提起し、これらが認定され、勝訴判決を勝ち取りました。

 

【事案の概要】

原告XさんはY氏との間でトラブルとなり、以後、Y氏は、定期的に、Xさんを誹謗中傷したり、原告の連絡先等を記載したビラを町で捲いたり、X氏に対して脅迫行為を行うなどしていました。。

Xさんは、警察に相談し、警察もY氏に注意をしましたが、逮捕・起訴までには至りませんでした。また、Y氏は、警察から注意を受けた後、上記行動を一時的に止めるときもありましたが、しばらくすると再び同様の行動を取ってきました。

そこで、Xさんは、Y氏に対し、名誉毀損・プライバシー侵害・脅迫行為等を理由とする損害賠償請求訴訟を提起しました。

 

【裁判の進行】

Y氏は、不法行為の成立を争いましたが、我々はY氏の言動を証拠化することに成功していましたので、Y氏の違法行為の主張・立証を尽くしました。Y氏は、最後まで悪びれる様子がなかったので、和解解決には至らず、判決が下されることになりました。

判決は、Y氏の行動が、Xさんのプライバシー侵害行為に該当すること、Xさんの社会的評価を著しく辱めるものであって名誉棄損行為に該当すること、極めて違法性の強い強迫行為であることを認定し、Xさんの損害賠償請求を認めました。

この判決の後、Y氏はついに、Xさんに対する誹謗中傷行為等を止めました。

 

【最後に】

裁判所が認めた損害額は、Xさんが被った損害を回復するに必ずしも十分なものとは言い難かったと考えていますが、裁判所が、Xさんの主張を認め、Y氏の行動をいずれも強い非難をもって違法と断罪したこと等は、十分に評価できる判決内容でした。

日本の裁判における名誉毀損・プライバシー侵害等の慰謝料額はまだまだ十分とは言えない状況にあり、費用との関係で裁判のハードルが高い状況にありますが、もちろん有効な解決になる場合もあります。

お困りの際には、ぜひご相談下さい。

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