「個人請負・個人委託も労働者」INAXメンテナンス事件最高裁逆転勝利!
弁護士 河 村 学
「個人請負」「個人委託」として働く人たちが増えていることをご存じでしょうか。現在、運送員、
外交員、技術者、建築作業員、美容師、講師、配膳・調理補助、受付、ゴルフキャディなどさま
ざまな職種でこのような働き方が活用されており、その数は110万人とも125万人とも言われて
います。
その問題点は、請負や委任とされてしまうと、労働者を守る法律の適用を受けなくなってしま
うことです。そうなると、賃金の保障もなければ、有給休暇なども当然ない。残業代も支払われ
ず、契約を打ち切られても文句もいえない。ともに働いている人と団結して、使用者と交渉する
こともできないということになってしまうのです。
使用者(企業)は、使い勝手のよい労働力として、このような「個人請負」「個人委託」を活用し
てきましたし、近時では、労働者として働かせていた業務についても、請負・委託に切り替えて
いくという使用者も現れてきています。
そんな中、今年4月12日、最高裁判所は、「個人委託」で働く人も、その働き方の実態からみ
れば労働者といえるので、憲法・労働組合法で保障されている団結権・団体交渉権が認められ
るとする画期的な判決を出しました。
訴えていたのは、INAX製品の出張修理業務に従事している人たちの労働組合。INAX子会
社であるメンテナンス会社に対し、最低年収の保障、時間外・休日の手当保障、労災保険の加
入、契約解除を一方的に行わないことなどを求めて、団体交渉を申し入れたところ、会社が、「
労働者」ではないという理由で拒否していました。今回、最高裁は、この就労者は労働組合法
上の労働者にあたるので、会社はこの労働組合との団体交渉を拒否してはならないと命じまし
た。
最高裁が注目したのは、@会社の主たる業務を担っており会社組織に組み入れられている
点、A契約内容を会社が一方的に決めている点、B労務の対価として報酬を受け取っている
点、C会社から修理依頼されればこれに応じざるを得ない関係にあった点、D会社の指揮命
令に従い業務をしており、時間的・場所的にも拘束されている点。このような事実が認められる
ので「労働者」と認めたのです。
「個人請負」「個人委託」とされていても、就労実態が労働者であれば、労働者としての保護と
権利が認められます。周囲の人と労働組合を作ったり、一方的な契約解除や報酬の引き下げ
に対抗し、働く人がまともに生活できる運動を進めていきましょう。