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交通事故と被害者死亡の因果関係が争われた訴訟で和解しました

2017-03-24

「交通事故と被害者死亡の因果関係が争われた訴訟で和解しました」

弁護士 喜 田  崇 之

【はじめに】

自転車に乗って交通事故に遭って頭を打った男性(Xさん、当時63歳)が、事故から38日後、自宅浴槽で溺死した件で、交通事故と死亡との間に相当因果関係があることを前提とする和解を勝ち取りました。

【事案の概要】

Xさんは、平成23年2月末、自転車に乗車中に、普通自動車に引かれる交通事故に遭われ、地面に頭を打ちました。Xさんは、事故後も自転車を運転して職場に向かいました。

Xさんは、翌日、念のため病院に行きましたが頭部に明らかな異常は見つかりませんでした。Xさんは、その後も、週に3日の仕事を続けながら経過観察をしていましたが、事故から約2週間後、硬膜下に水腫ないし血腫が確認されました。さらに約2週間後、その水腫ないし血腫が大きくなり、このままだと手術をして水腫ないし血腫を除去しなければならない状態(慢性硬膜下血腫)であると医師から言われていた矢先、自宅の浴室で溺死しているところを発見されました。検死の結果、浴室内で意識を消失したため、溺死したと判断されました。

自賠責保険は、本件事故とXさんの死亡には法的な因果関係がないと判断し、任意の保険会社も同様に判断したため、弁護士喜田がXさんの代理人に就任し、2016年12月、損害賠償請求訴訟を提起しました。

【大阪地裁での審理】

本件の争点は、風呂場での意識消失発作が発生したことと本件事故との因果関係が法的に認められるかでした。Xさんには慢性硬膜下血腫、水腫がありましたが、検死結果報告書では、血腫量が極めて少なく記載されていました。被告側は、慢性硬膜下血腫で意識消失発作が起こること自体珍しい上に、血腫量が極めて少ない本件では、これらが原因で意識消失発作が起こることは考えられないと主張しました(また、これを後押しする医師の意見書も提出されました。)。

確かに、どの医学書を読んでも、医師に聞いても、検死結果報告書記載の血腫量で意識消失が起こりうると導き出すことは困難でした。一審段階で、実際に検死をした医師が証人として証言しましたが、証人は検死結果が全てである旨を証言するのみでした。

結局、一審判決は、本件事故と意識消失発作との関係、ひいては死亡との因果関係が全て否定される判決が下されました。Xさんのご遺族はすぐに控訴しました。

【大阪高裁での審理】

控訴審に入り、もう一度膨大な記録を精査していると、検死結果報告書の中にあった大量の写真の中から、脳の表面に黒ずんだ血の塊がこびりついているものが見つかり、これが、急性硬膜下血腫の際に見られる所見であることがわかってきました。また、病院に通っていた当時に撮影されたレントゲン画像の状況から、血腫量が検死結果報告書記載の量より多いということが言えるのではないか、検死結果報告の記載が誤りではないかということが浮かび上がってきました。

つまり、Xさんは、慢性硬膜下血腫の量が増大していた中で、亡くなる直前、何等かの事情で慢性硬膜下血腫が急性増悪した(急性出血があった。)ため、意識消失発作を起こしたのではないかということが法的に認められるのではないか。これらの発見を主張書面にまとめ、医師に意見書とともに裁判所に提出しました。

裁判所は、この論点を判断するため、中立の第三者の専門委員(脳神経外科の医師)に判断を仰ぐことを決定しました。そうしたところ、当該専門委員も、我々の主張と同様、検死結果の少ない血腫量の記載に疑問を呈し、黒ずんだ血の塊を根拠として、慢性硬膜下血腫が何等かの事情により急性増悪したため、意識を失う病態に至った可能性が高いことを指摘しました。

専門委員の意見を踏まえて、高等裁判所は、死亡との因果関係があることを前提とした和解案を文書で提案しました。最終的には、裁判所の和解案に沿って和解が成立しました。

【最後に】

何の利害関係のない死体検案書に書かれた記載に誤りがあることなど、当初は全く考えもしませんでした。しかし、最終的にはその記載が誤りであることに気づき、裁判所や専門委員にも理解してもらうことができました。固定観念を捨てて記録を検討することの重要性を思い知らされました。

医学的に非常に難解な事件でしたが、遺族の方が最後まで諦めずに戦い続けたことが、最終的な和解につながったと思います。

最後になりますが、亡くなられたXさんのご冥福をお祈り申し上げます。

カテゴリー: 民事 

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