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建設アスベスト大阪地裁判決

2016-05-01

建設アスベスト大阪地裁判決の報告

弁護士 高橋早苗

1月22日、建設現場での石綿建材により、石綿関連疾患にかかった建設作業従事者らが、国と建材メーカーに対し損害賠償を求めていた建設アスベスト訴訟の大阪地裁判決がありました。東京地裁、福岡地裁に次いで、三度国の責任を認める判決でした。

本判決では、①昭和50年~平成18年の間防じんマスクを労働者に着用させるよう事業主に義務づけなかった点、②昭和50年~平成18年の間警告表示を石綿建材や現場に掲示するよう製造業者や事業主に義務付けなかった点、③平成7年~平成18年の間、青石綿、茶石綿だけでなくクリソタイル(白石綿)の製造等禁止をしなかった点について、国の違法が認められました。このうち、①及び②については、大阪地裁に先行する判決よりも長期の32年間にわたる国の違法を認めました。また、③については本判決で初めて違法が認められたものでした。

このように、本判決は国の責任を一歩進めた点では評価しうるものの、建設作業従事者の多くを占める「一人親方」については労働関係法規によっても建築基準法によっても保護の対象ではないとして国の責任を認めませんでした。建築現場では労働者か一人親方かで変わることなく、同じ作業に同じように従事しています。今回、労働者か否かを多少緩やかに判断したために労働者と認められた原告もいますが、そのようなさじ加減ひとつで、一人親方にも労働者にもなり得るような曖昧な違いしか労働者と一人親方との間にはないのです。

また、企業について本判決は原告らの主張にもまともに向き合うことなく、十分な検討をしないまま、結論ありきでその責任を否定しました。被告企業らは、石綿の危険性を認識しながら、企業利益のために石綿建材を流通させました。企業の製造・販売という加害行為があったからこそ、これだけ広く石綿建材が建築物に使用され、建設作業従事者の被害が広がることとなったのです。企業の責任は重大であり、その責任を否定する本判決は不当としか言いようがありません。本判決の1週間後に出された京都地裁判決が企業の責任を認めたことからしても、その不当性は明らかです。

本件訴訟は2011年7月に原告17名(被害者は10名)で提訴し、その後順次追加提訴を行い、判決時には原告33名(被害者は19名)となりました。本判決では、一人親方や国の責任期間の問題などから7名の被害者について請求が認められませんでした。提訴から判決までの間に、4名の本人原告が亡くなっています。当初は裁判期日や集会等にも意欲的に参加していた方々が、徐々に家から出られなくなり、あるいは入院しそして最期を迎えてしまうことは、本当にやるせなく悲しいものでした。このような現実を目の当たりにし、よりいっそう石綿建材の使用を推進し、放置してきた国と企業への怒りが込み上げてきました。建築作業従事者の石綿被害についての国の責任、そして企業の責任を正しく認め、原告、そして全ての石綿被害にあった建設作業従事者が救われる判決を勝ち取れるよう、控訴審でも力を尽くして戦っていきたいと思います。

カテゴリー: くらし, 労災, 行政 

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