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下級審判例:第2次下請従業員の転落事故と元請の責任

2019-10-26

第2次下請従業員の転落事故と元請の責任について、下級審の裁判例を紹介します。

東京高裁平成30年4月26日判決(労働判例1206号46頁)です。

事例は、都市再生機構(UR)の団地内における樹木伐採剪定を請け負った第2次下請造園業者の従業員が樹木から転落した労災事故で、従業員が、直接の雇用関係のない元請会社(URの関連会社)と第1次下請業者に対し、安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求した事件です。

東京高裁判決は、第1審の東京地裁判決を覆して、元請会社(URの関連会社)の安全配慮義務違反と第1次下請業者の安全配慮義務違反を認めました。

「元請会社は第1次下請業者に対し、個別の工事に関して安全指示書のやり取りや安全衛生の手引の交付によって、安全帯(一丁掛け)の着用、使用に関する指示を具体的に行い、かつ週2回程度訪れて遵守状況の確認を行っていたものであり、第1次下請業者は、この指示に基づき、第2次下請業者に対し、同様の具体的指示を行っていたものであって、この指示は、第2次下請業者を通じてその従業員に対しても及んでいたことからすれば元請会社と第2次下請業者の従業員との間には、特別な社会的接触の関係を肯定するに足りる指揮監督関係があったということができる。」「本件高所作業においては、安全帯、取り分け二丁掛けの安全帯の着用とその徹底が求められるべきところ、元請会社は、安全帯は一丁掛けのものでも安全確保が十分であるとの誤った認識の下に、一丁掛け安全帯の使用の徹底を指示していたのであるから、安全配慮義務違反がある」

第2次下請業者は、小規模零細企業が多く資力に乏しくて、被災した労働者が損害賠償請求をしても、損害賠償金を支払う能力がないとか、多額の賠償で破産するおそれもあり、損害賠償金を得られない危険が大きいです。そのため 直接の雇用関係にある第2次下請業者の資力に不安があるときには、元請会社や第1次下請業者に対して、損害賠償請求がすることになります。

最高裁判例によれば、安全配慮義務は、特別な社会的接触の関係に入った当事者間において信義則上認められるものとされています。この特別な社会的接触の関係があったか否かについては、下請業者の労働者が元請会社の管理する設備工具などを使っていたか、下請業者の労働者が事実上元請会社の指揮監督を受けて働いていたか、下請業者の労働者の作業内容と元請会社の労働者の作業内容との類似性、といった事情に着目して判断することになります。

東京高裁の判決では、少し緩やかに、特別な社会的接触の関係を肯定しており、労働者によって有利な判断といえます。

 

カテゴリー: 労働 

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