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フジ住宅ヘイトハラスメント裁判 高裁でも勝訴

2022-01-06

フジ住宅ヘイトハラスメント裁判 高裁でも勝訴                                 弁護士 西口加史仁

2021年11月18日、大阪高等裁判所で、フジ住宅ヘイトハラスメント裁判の控訴審判決が言い渡されました。原告側の勝訴と評価できる内容です。関西合同法律事務所の河村学弁護士、清水亮宏弁護士および西口が、同裁判の原告弁護団の一員として闘っていますので、同裁判の顛末を報告します。

この裁判は、フジ住宅や同社の会長が従業員に配布していた資料(書籍・論文・従業員の感想文など)の中に「韓国人はうそをつく国民性」などのヘイトスピーチを含む内容が大量に含まれていたこと等を理由に、フジ住宅の従業員が、慰謝料などの支払いを求めた裁判です。

2020年7月2日、大阪地方裁判所堺支部で、「社内において全従業員に対し、ヘイトスピーチをはじめ人種民族差別的な記載あるいはこれらを助長する記載のある文書や会長が信奉する(政治的)見解が記載された文書を大量かつ反復して配布する行為」などの違法性を認め、会社及び会長に110万円の支払いを命じる判決が出されました。

これに対し、会社及び会長は判決を受け入れることなく控訴し、また、原告側も一審判決の不十分な点を是正すべく控訴しました。さらに、一審判決後も、会社は資料配布をやめる気配は無く、相変わらず人種差別的な資料を配付し続けました。加えて、「原告は今も在籍して働いていると思うと虫唾が走ります」などと原告攻撃を内容とする他の従業員の感想文を大量に配布するなど、原告に向けた攻撃もより一層激しさを増すようになりました。

このような事態を受け、原告側は、控訴審で人種差別的資料及び原告個人攻撃資料の配布を差し止める請求を追加するとともに、直ちに配布を禁ずるべく仮処分も申し立てました。そして、控訴審判決は、一審判決に引き続き、会社及び会長が行ってきた人種民族差別的な資料配布などの違法性を認め、損害賠償額を増額して会社及び会長に132万円の支払いを命じ、さらに資料配布の差止めを命じました。また同時に、直ちに配布を禁ずる仮処分命令も出しました。

そして、判決では、職場において差別的思想が醸成されないないよう雇用主に配慮を求める職場環境配慮義務が肯定されています。企業におけるレイシャル・ハラスメント(人種に関するハラスメント)の根絶の足掛かりになる判決となることを期待しています。もっとも、会社及び会長は、未だに判決を受け入れることなく争う姿勢を見せており、裁判は続く見通しです。職場における労働者の人格権保障のため、会社が変わってくれることを信じて今もなおフジ住宅で働き続ける原告とともに我々弁護士や支援者達が一体となって、今後も闘っていきます。この記事をご覧の皆様にも、引き続き、大きなご支援をお願いいたします。

カテゴリー: 労働 

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