1 家賃の一方的な値上げに応じなければいけないの?
ある日、突然、大家さんから家賃(地代も同じです。)を上げてと言われました。応じなければいけないのでしょうか?
2 家賃は一方的に変更できないのが原則
お金を払って物(土地や建物も含みます。)を借りる契約は賃貸借契約といいます。契約は,お互いが合意するからこそ、お互いを拘束するものです。ですので、大家さんが一方的に家賃を上げてほしいと言ってきても、いやだと言って断れば、今までどおりの家賃を払えばよいです。
ちなみに、もめているから家賃を払わなければいいやと思って、家賃を払わないでいると、家賃不払いにより、賃貸借契約を解除され、出て行くように言われます。今までどおりの家賃はきちんと払ってください。
3 家賃を受け取ってくれなくなったら?
これまでどおりの家賃なら受け取らない、と言う大家さんがいるかもしれません。この場合は、大家さんが受取を拒否したのですから、借主としては家賃を払ったものとして扱われます。よって、賃貸借契約の解除はできません。
しかし、後になって、大家さんから「拒否をしていないのに払ってくれなかった」と言われてはいけませんので、銀行口座が分かっているのならその銀行口座に振り込んだり、現金書留で現金を送ったりして、借主として家賃を支払おうとしたことを証拠に残すようにしてください。
また、最も確実な方法としては、お近くの法務局にこれまでどおりの家賃の額を供託(きょうたく)するという方法があります。簡単に言えば、国にお金を預けるような制度ですが、供託をすると、家賃を支払ったのと同じ扱いになります。供託の手続については、弁護士に相談するか、法務局にお尋ねください。
4 調停、裁判を起こされることがあります
一方的に家賃を上げることはできないことは、先ほど述べました。しかし、経済情勢等の変化にしたがって、家賃が安すぎたり、高すぎたりするようになってくることがあります。
そのために借地借家法という法律では、家賃の増額、減額を裁判所に請求できることになっています(11条,32条)。ただし、一定の期間、賃料を増減しないという約束があれば、その期間は、賃料の増減額請求はできません。
増額を求める大家さんは、まず調停を申し立てます(民事調停法24条の2)。調停は、裁判所を交えて、話し合いをするものです。話し合いですので、まとまらなければ、調停手続は終わり、大家さんは、増額請求の裁判を起こすことになります。
判決が確定するまで、借主は「相当と認める建物の借賃の額」を支払えば足りるとされています。
この相当額は、従前の家賃と同じ額とすることが多いと思われます。
ただ、家賃を増額する判決が確定すると、増額の請求があった時にさかのぼって不足額に年1割の利息を付けて支払わなければいけません。ですので、あとで不足分が生じないような額を
したがって、家賃増額請求を受けたときは、すみやかに弁護士にご相談されることをお勧めします。
5 家賃が高すぎるという場合、減額請求もできます
今までは家賃の値上げを大家さんから求められたときについて話してきましたが、近所の相場や建物の価値などに照らして高すぎると考える場合は、家賃の減額を請求することもできます。手続としては,家賃増額請求と同じです。

2011年5月