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[平和]に関する記事

辺野古への米軍基地建設は許せない

2016-01-01

辺野古への米軍基地建設は許せない
                  弁護士 上  山   勤
   基地建設のいま
 10月13日、沖縄の翁長知事は、辺野古周辺の公有水面の埋め立て条件を守っていない(サンゴなどを傷つけている)として、埋め立て許可の取消処分を発表した。これに対し、防衛局は行政不服審査の申立をし、結論が出るまでの執行停止の申立を、国土交通大臣に対して行い、大臣はこれを許可した。(本来、これは国民に対して違法な行政行為に対抗するために認められているはずの手段。だから、国は自分で自分を裁くというとてもおかしな構図になってしまった。)
 他方で、国は11月17日、あくまで翁長知事が態度を変えない場合に備えて、国が知事に代わって、埋め立て承認の取消の取消ができるようにするため、福岡高等裁判所那覇支部に対して、代執行に向けた行政訴訟を提起した。20年前、当時の大田知事が米軍の為の土地の強制的な取上げに協力しなかったときに、わざわざ法律を作って知事に代わって国が処分できるようにした、あの場面の再来である。国の言い分の柱は二つ。○1辺野古へ移転しなければ、危険な普天間の基地が存続してしまう○2日米関係に不利益が生じる、というものである。
不利益の大きさを考えれば、埋め立ての手続きに多少の問題があったとしても、著しく不当とは言えず翁長知事の取消処分は過去の判例に違反している、というのである。沖縄県としては、国土交通大臣のなした執行停止処分の取消を求めて、「抗告訴訟」(国土交通大臣の処分の取消を求める訴訟)を提起した。「重大な損害を避けるため、緊急の必要性がある」場合は、大臣決定を取り消すことができる。こちらは、政府とは、一応独立した裁判所の判断を求めるものである。しかし、このまま、裁判所の判断に下駄を預けるような状況は危険である。ちなみに、高裁の那覇支部長が最近、交代となった。後任は、千葉の成田の土地収用で農民の主張を切り捨てた裁判官である。
   日本の政府はどっちを向いているのか
 国が挙げた二つの理由の内、日米関係を阻害するという理由について。オール沖縄の民意を圧倒するほどに日米関係の重視、辺野古への移転は重たい事実なのであろうか。沖縄の基地周辺住民は占領米軍に無理矢理、土地を取り上げられた。最近では、少女暴行事件と軍用ヘリ墜落事件が記憶に新しい。政府はこのような事実を本当に重く受け止めているのだろうか。
他方で、沖縄に駐留する米軍が日本の人民のために軍隊として何かしてくれただろうか。私は知らない。第一、日本が攻撃されたことなど一度もない。だから、米軍は出動していない。尖閣諸島はどうなのか。中国軍が侵攻したことはない。日本も海上保安庁が警察対応しているが、米軍が一度だって出てきて、中国漁船を威嚇したことがあっただろうか。ないのである。他方で、米軍はここを足場にベトナムや中東に侵攻していった。御利益は日本にではなく、米国にあったのである。このような具体的な事実の指摘を政府は決して行わない。一体どっちを向いて政治をしているのだろうか。
  今、求められているもの
日本にある米軍基地の7割以上が沖縄に集中している。戦後沖縄だけが米軍の占領下であり続け、30年間犠牲になり続けたのだ。その歴史ゆえに米軍基地が集中をしている。しかし、戦後70年たった今、これをこのまま放置してよいのだろうか。安保関連法案の成立反対運動で名の知られることとなった学生組織「シールズ」が11月15日、小雨の降る東京新宿で「辺野古基地建設に反対する緊急集会」を開いた。専修大学2年生のT君、『ハクサイ、グスヨー ・・・ブルドザーで踏みつぶされて基地ができ、日米安保も地位協定も国会に沖縄の代表は一人もいないまま決められた。 ・・・ゲート前の声に耳を傾けてほしい。一人一人が辺野古を通して本当の民主主義を勝ち取って!』と訴えた。
6月に琉球新報が行った県民の意識調査。53%が基地の沖縄からの撤去を求めている。過半数の人が撤去を望んでいる。
他方で、政府が行ったとされる今年当初の世論調査では、83%の国民が日米安保条約は日本の平和と安全にとって有効である、と感じている。安保条約は抑止力として必要だという意見が多数なのである。であれば、沖縄だけに犠牲を押し付けるのはおかしい。必要な条約だという意識と、しかし自分の近くに基地は嫌だという意識はわがままでありおかしい。米軍基地はいらないというのであれば、抽象的に言い伝えられている「抑止力としての安保」についてもう一度考え直してみる必要があるだろう。

『日本国憲法・出前講座』

2014-08-11

『日本国憲法・出前講座』 弁護士 中平 史

関西合同事務所では、昨年の春から、『日本国憲法・出前講座』の講師に招いていただく取り組みを行っています。これまでに、61か所、おおよそのべ2350名ものみなさまに私たちの憲法のお話を聴いていただきました。
初めの頃は、「憲法」も「立憲主義」もまだまだ敷居が高そうでしたが、今では多くの皆さまが身近に感じて下さっていること実感しています。
先日は、阿倍野ハルカスで催された「フェアトレードディ」のイベントで「あすわす(明日の自由を守る若手弁護士の会)」の紙芝居の上演をさせていただきました。ハルカス8階・「縁活」広場~オープンスペースでのおひろめでとても緊張しました。が、こんな風にお話しさせていただけるのも、たくさんの皆さまが「憲法」に強い関心を持ってくれているからだと思いました。
憲法は、他の法律~民法、刑法など~は国家が私たち国民を縛る決まりごとであるに対し、私たち国民が(法律を作る)国家を縛る、いちばん偉い決まりごとです。
では、どうして憲法は、そんなに偉そうにしていることが出来るのでしょうか?
それは、憲法が、私たち個人にとっていちばんたいせつなこと~みんな自由で、平等で、他の誰からも支配されてはならない!ということを定めている決まりごとだからです。
いちばん偉い決まりごとだから、他の法律のように簡単に変えることが出来ない仕組みになっています。だって法律と同じように簡単に変えることが出来たら法律を縛ることができませんものね。
いちばん大切なことを定めているから、年を取ることはありません。新しい人権が登場しても、一般条項というのがあって、その人権が私たちにとって大切なことだったらちゃんと導き出してくることが出来るようになっています。
そして、日本国憲法が、世界中でいちばんすごいのは、戦争を放棄して、平和的生存権を保障していることです。だって、戦争が起こって、誰かが殺されたり、誰かを殺したりしなければならなくなってしまったら、みんな自由で、平等で、誰からも支配されてはならないという~いちばん大切なことを守ることが出来なくなってしまいます。
私たちは、こんな素晴らしい憲法を「過去幾多の試練に堪(た)」え努力して来てくれた過去の人類からプレゼントしてもらいました。今度は、私たちが、将来のみんなに手渡して行かなければなりません(日本国憲法97条)。
この夏、もう一度、日本国憲法を学んでみませんか。
講師のご用命は、当事務所まで。

日本国憲法誕生の頃の思い出と改憲策動 東中光雄

2007-05-14

日本国憲法誕生の頃の思い出と改憲策動
弁護士 東中 光雄

1.私は昭和二十年八月十五日正午、北海道の千歳航空隊で天皇のラジオ放送を聞いた。天皇は「朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し、その共同宣言(ポツダム宣言)を受諾せしめた……堪へ難きを堪へ、忍び難きを忍び、以て万世の為に太平を開かんと欲す……」と宣ったのであった。そして、間もなく、私は零戦特攻隊の任務を解かれ、九死に一生を得て、復員した。

2.復員直後から、私は「開世録」を作り、終戦の「詔書」と「内閣告論」、「カイロ宣言」「ポツダム宣言」の全文を筆記し、更に、「米国の初期対日占領政策」(「武装解除並びに軍国主義の抹殺」「個人の自由及び民主主義の助長」「経済上の非軍事化」等々)やGHQの「政治・信条並びに民権の自由に対する覚書」の全文を筆記して、これをにらんで、先の戦争への反省、今後の国のあり方、個人の生き方について、苦悩の月日を送っていた。

3.昭和二十一年四月十日、私は戦後最初の総選挙・日本で最初の男女平等の普通選挙に参加し、投票に行った。そして五月十六日、第九十帝国議会が招集され、六月二十日、この帝国議会に「帝国憲法改正案」として、日本国憲法草案が提出され、明治憲法第七十三条の手続(三分の二以上の出席、三分の二以上の多数で採決する)に従って、最終的に十月七日、衆議院で可決、成立した。そして、十一月三日、日本国憲法として公布され、翌年五月三日に施行されることとなったのである。

4.憲法公布の日から約一ヶ月後、帝国議会内で両議院の議員や学者、ジャーナリスト等で、「憲法普及会」が組織された。
  普及会は憲法施行の日、小冊子「新しい憲法 明るい生活」(二千万部)を刊行して、新憲法を次のように説明している。
「私たち日本国民は、もう二度と再び戦争をしないことを誓った。これは新憲法の最も大きな特色であって、これほどはっきり平和主義をあきらかにした憲法は世界にもその例がない。本当に平和な世界を作りたい。このために私たちは陸海空軍などの軍備をふりすてて、平和を守ることを世界に向かって約束したのである。…」と記述する。
  また、同じ二十二年八月、文部省発行の中学一年生の教科書、「あたらしい憲法のはなし」は「こんどの憲法では、日本国がけっして二度と戦争をしないように二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争するためのものはいっさいもたないということです。これを戦力の放棄といいます。
  もう一つは、…よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手を負かして、自分のいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。…また、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことを決めたのです。これを戦争の放棄というのです。…みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。」と記述する。
  以上が、憲法制定時期、国民に明らかにされた日本国憲法の内容である。なおこの教科書は数年で文部省は廃止した。

5.しかし、この新しい憲法の改定策謀は、憲法施行の翌年からはじまった。一九四八年五月、アメリカのフォレスタル国防長官が、日本に軍隊を持たせるための方策の研究を指示し、翌一九四九年二月、米統合参謀本部が、「日本の限定的再軍備ついて」という報告書を出し、「極東でソ連と戦うとき、アメリカの人的資源節約のため、日本に軍隊を創設する必要がある。そのためには、憲法が大きな障害になる。今は限定的な再軍備で間に合わせ、最終的には憲法を変えて本格的な軍隊をつくる道を考えよう」と報告した。そして翌年五十年、マッカーサー指令で警察予備隊を創設し、五十四年には自衛隊に格上げした。五十二年は日米安保条約の締結、六十年安保で日米共同作戦体制を作った。そしてまた、五十五年保守合同で自民党が自主憲法制定を打ち出したのである。
  要するに、日本の改憲策動は、安倍首相の言うように、憲法制定後既に六十年、時代に合わなくなったからやるのではなく、憲法施行の直後、一九四八年から、アメリカ主導で始まったものである。

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覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来

2007-05-12

覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来 (集英社新書)
弁護士 上山 勤

主権(しゅけん)在民(ざいみん)・基本的(きほんてき)人権(じんけん)の尊重(そんちょう)・そして平和(へいわ)主義(しゅぎ)。

この三つが憲法の柱と言われています。いろんな人権保障の規定を全部あわせたのと同じぐらい重みのある大切な決まりが平和主義をうたう9条です。国どうしの紛争の解決は話し合いで行い、武力を用いない。戦力は持たないし、いくさをする権利を認めない。という内容ですが、いまこの決まりを変えてしまおうという動きがあります。

戦後の政治の流れの中で、憲法のこの決まりほど議論を呼んできたものはありません。『軍隊は持たない』はずなのにどうして自衛隊があるの?と子どもに聞かれてちゃんと説明できる親や先生が何人いるでしょうか。現実と理念がかけ離れている感じがします。ここには憲法や法律といった社会の決まりごとのもつ本質的な問題が隠れています。ルールは誰かが破れば厳しくとがめられます。でも社会の大部分の人がこれを破ればルールはすでに死んでいるのです。つまり、社会のルールは実は国民の多くに支持されていることが生きている前提なのです。9条はどうなのか。政府は変えてしまえ!と言っていますが私は変えてはいけないと思っています。戦争は酷く悲惨なものだからです。あの、太平洋戦争で得をした人はごく一部の人で大多数の国民は大変辛い経験をしたはずです。

ここに『平和へのねがい・・裁判にかける私の思い』という本があります。イラク派兵差止訴訟の当事者356名の陳述書集です(すすめる会発行)。戦争をしないはずの日本から武装した陸上自衛隊が戦後初めて、イラクまで行った。現在は航空自衛隊が武装米兵や武器弾薬を輸送しています。憲法違反だ!と訴えている裁判です。なし崩しで9条を変えるな!というわけです。戦争はアカンという声を社会の多数のままにしておきたいから目の前でおきている「派兵」という現実(ごり押し)に反対して起こされました。ひとりひとりの戦争体験、焼夷弾の雨の中を逃げ回ったこと・地獄であった被爆の体験・苦しかった引き揚げ・ひもじかった疎開生活など涙なしには読み通すことのできない陳述書集です。自分の人生をかけて平和のための教育をしてきた先生達や不安におののく障害者の方達の搾り出すような声もつづられています。ぜひ、多くの人に読んでいただきたいと思います。

なしくずし的な事実の積み重ねの次に予定されているのが、9条を変えてしまえ!という動きなのです。安部内閣は在任中にやってしまうと公言しています。どのように実現を図るか。嘘の宣伝を大量に繰り返す、これがいま流行のブッシュ流世論操作法です。例えばイラク戦争では結局大量破壊兵器もなかったし、テロリストとフセインさんとの繋がりもなかった。でもブッシュさんは戦争を始めるちょうど半年前からフセインは9.11と関係があるし再びテロを起こす恐れがあると宣伝しました。政府のマスコミ発表などを利用してあらゆる機会にこれをやったのです。半年後、フセインを政府の宣伝どおりの危険な人物だと信じた米国民は半数に及んだそうです。

こんな奴はやっつけろと、宣戦布告もない攻撃が行われたのでした。(いかに米国が身勝手な存在で国際法を踏みにじっているのかについては『覇権か、生存か』(集英社新書、ノーム・チョムスキー作)が克明に暴いています。安部さんも必ずまねをします。騙して多数を握られないように、イラク戦争に反対し9条を大切にする仲間を増やしませんか。もちろんのこと、国会でもそのような勢力が大きく前進するように。

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