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西淀川公害訴訟

2004-11-14

西淀川公害訴訟   ( 関西合同法律事務所 「50年のあゆみ」から )

弁護士 上山 勤

 
1978年、西淀川区に居住する住民は関西電力・住友金属・大阪ガス・旭ガラス・神戸製鋼といった関西の大手企業と国・道路公団を相手取って排気ガスの差止めと損害賠償を求めて大阪地方裁判所に対して訴訟を提起した。ちょうど私が弁護士になった年のことだが、かっては昼間でもライトをつけなければ車が走りにくいとか、洗濯物が真っ黒になってしまう、ゼンソクで次々と患者が死んでいくといった背景におされ、やむにやまれぬ思いでなされた提訴であった。住民はまるで一揆を進めるかのように企業の門前に押しかけて抗議をしていたが埒が明かなかった。事務所でも多くの弁護士が参加したが、最後まで弁護団を構成して闘ったのは峯田勝次弁護士と上山勤の二人であった。
証明は困難を極めた。金も力も無い患者会と弁護団にとって、「被告等の企業や道路からの汚悪煙が一緒になって原告らの居住地に到達し、疾病を引き起こしている」このことを証明するためには、資料の発掘、原告からの聞き取り、社会学者や科学者の協力などきわめて多彩かつ多数の人たちの助力が必要であった。
提訴から17年目の1995年3月、被告企業らは責任を認め、原告患者らに対して、整列をした上、深々と頭を下げて謝罪をし、全面的な和解が成立した。『子や孫に青い空を手渡したい』という思いで、命がけで戦ってきた患者と家族。同年の7月5日には、井垣裁判長は、最後まで和解を拒否して争ってきた国・公団に対し、道路からの排気ガスによって原告らがゼンソクなどの病気に罹患したとして、賠償を命じる判決を言い渡した。その後高裁の手続きの中で患者側と国・公団とも和解が成立し、単なる賠償だけではなく、今後に向けた汚染防止のためのアセスメントの枠組みなどが合意された。
この西淀川公害訴訟の成果は、名古屋・川崎などの他の訴訟にも引き継がれていった。 

カテゴリー: くらし, 行政 

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